美味しくて感動したあの時の記憶。クラフトビール醸造家の計算と感覚
子供のころから、昆虫、生物、動物、犬猫、生き物全般が好きな理数系でした。琉球大学 農学部 生物資源学科でミクロの世界を勉強し、ビール醸造家という天職へ。今回は、CHATAN HARBOR BREWERY ヘッドブルーワーの眞境名しのぶ さんにお話を伺いました。
撮影場所:CHATAN HARBOR BREWERY
[編)編集部 / ま)眞境名しのぶ さん]
編)まじきなさん、お久しぶりです!本日はわざわざお時間いただきましてありがとうございます。よろしくお願い致します。
ま)よろしくお願いします。ビールのことでしたら何でも聞いて下さい。
編)今日は、かなり駆け足になりそうですが、専門的なお話もいろいろ教えて下さい。
ま)了解しました。
編)では、まずは、現在のお仕事、醸造家になられる前までにどのようなことをされていらっしゃったのか、バックグラウンドやクラフトビールとの出会いのきっかけのようなことから伺いたいのですが、
ま)はい、私は沖縄の琉球大学で、小さいころから好きだった生物学の分野で食品化学を専門にしていたのですが、卒論研究としては沖縄の名産品であるサトウキビから作られる黒糖がテーマで、黒糖の中の抗酸化物質や有効成分等、分析技術を学んでいました。
醸造学は座学で基礎を学びました。例えば酵母の代謝でどのような物質が生産されるのか、温度や基質成分の条件違いで、発酵の仕方が変わるとか面白かったです。 難しい言葉がでてきてしまいますが、大丈夫でしょうか?笑 編)はい!記事になる時には言葉を補ってわかりやすくお伝えいたしますので!でも、こういう普段の生活の中では一般的には聞くことのないような専門分野の話って、知的好奇心旺盛な私たちの読者にはウケがいいですから、しっかり補足、解説します!
ま)今現在は、テラスホテルグループの北谷ハーバーブルワリーで醸造責任者としてクラフトビール造りに携わっていますが、クラフトビールとの一番最初の出会いはというと、私が学生時代に泡盛のヘリオス酒造さんのレストランで給仕アルバイトをしていたときでした。ヘリオス酒造さんは1996年からビール造りを始めていて、自社ビールをそのレストランでも提供されていたんです。そこで試飲させていただいた地ビールが衝撃的に美味しくて、本当に感動したんですよ。
フルーティでジューシーで、、、え?!ビールでこんなことができるの??と感動しました。そんな美味しかったビールの作り方も、その時の1バッチ(1回分の製造量)だけだったので、実はレシピも残っておらず、醸造家さんの頭の中の感覚からできただけのものという事にも驚きなのですが。。。
そんな感動できる美味しいビールを創りたい、というのが動機で現在に至っています。
その頃は地域ごとにローカル色のある小規模生産のビールということで「地ビール」という言葉が使われていた頃、たしか石垣地ビールさんも同じタイミングでクラフトビール造りが始まっていましたので、沖縄クラフトビール黎明期でしたので、タイミングもよかったのかもしれません。
編)美味しかった感動をきっかけに、そこから醸造家への道としては、、、
ま)卒業してからすぐに、そのヘリオス酒造さんに入社し、社会人として初めての仕事がビール造りとなりました。「私、美味しいビール造りたい」と言ったら入社試験も何もなしに入れてもらえたので、最初から醸造の仕事をしています。
編)え!本当ですか??すごい!それまた直球ですね!
ま)卒業した学科のOBが泡盛業界内に多いため、すんなり入れましたね。沖縄での酒造業界では割と大学との連携もよくて、ビール醸造家への道としては最短ルートだったかもしれません。いろいろな方法があるとは思いますが。
ちなみに、当時でも今でもそうなのですが、醸造家っていう資格は存在しないんですよ。もちろん、発酵や生物学の知識はないとプロの世界で役立てないですから、大学での勉強や基礎知識はもちろん必要ですが。組織や事業体が醸造所として持っていなくてはいけない免許や資格はもちろんありますが、個人の専門職として創る人が、お酒を醸造するために必要な資格は無いんですよ。
最近では、協会が発行する、ビアテイスターやビアジャッジなど、ワインで言うところのソムリエみたいな資格はありますが。それも、地ビール協会が発足してからで、2000年前後からですかね。
編)例えると、デザインの世界でも、デザイナーになるための資格はないのですが、ただクリエイティブの現場で良い作品を創れるかどうかしか関係ない。みたいなものですかね?
ま)そうですね、醸造家として美味しいビールをくつるための知識と経験、そしてどんな美味しいビールを作れるか、がすべてですね。
バックグラウンドとして、実際に販売するようなお酒を醸造していたわけでありませんが、酵母菌の代謝の仕組と言いますか、醸造学の基礎知識がありましたからスムーズでしたね。
それと、いろいろな地域に行って各地のクラフトビールを飲むのは趣味でもありますので、今のお仕事はほんとに天職です。
編)先ほど、レストランで給仕のアルバイトをされていたときにクラフトビールを試飲される機会があったと伺いましたが、その頃はどのようなビアスタイルがありましたか? ま)アメリカンウィート系、90シリング※とか、ペールエールあたりですかね。 ※高アルコールで濃い色・濃い味が特徴のスコッチエールは「ナインティ・シリングビール」と呼ばれていた 今のようなIPAやヴァイツェン、サワー系みたいに豊富なビアスタイルは日本市場ではまだ存在してなかったかもしれませんね。カテゴリー分類もまだしっかりしてなかったと思います。
編)たしかに、ちょっと前までは、ビールといえばいわゆる大手ビールのラガーか、黒ビール、もしくはバドワイザー、ハイネケン、コロナぐらいのラインナップしか手に入らなかったですよね。個人的な感覚ですと、大手ビールさんでは、金色の缶に入った少しプレミアムなエビスビール、女性受けも良いキレイな色の琥珀とかが出てきたぐらいの頃でしたかね。。。
ちなみに、クラフトビールと呼ぶために何か定義はあるのですか?
ま)アメリカではブルーワー・アソシエーションが定義していますが、日本ではしっかりとした定義はないです。全国流通というナショナル規模よりも、小規模ローカルなというくらいの定義がある程度ですね。
日本では、1994年の法改正で、環境的に小さな醸造所でもビール作りできるようになりましたので、地ビールの作り手が一時期乱立しながらも、本当にビールの作り方を知っている人は居なかったのが事実なんです。 大手ビール会社からクラフトビール製造に関する知識を得ることもできませんでしたから、海外ドイツやベルギー等からクラフトビールの醸造方法を学び、みんなそれぞれがそれぞれの方法で作っていたのです。
編)そうだったんですね!なんとか高原とか、なんとか地ビールとか、たしかに日本各地でよく目にした時期ありましたが、いつのまにか。。。
ま)やっぱり、作ったことがないから仕方がないのですが、どうしても付け焼刃で得た知識感が否めず、クオリティが担保できなくなっていき、状態が良くない商品が市場に出回っていたこともあるかもしれません。
2000年ころまでは、法改正による地ビールブームというだけで、実際のお客様の経験としては、地ビール=美味しくなかったのに高値、という印象を持たれた方もその頃は多数出てしまって、顧客離れが進んで業界全体が下火になってしまったわけです。
編)そういうことだったんですね。
ま)そこである程度淘汰されて、業界が沈んでしまったときに、知識を持っている会社はその専門知識をブラックボックス化して囲い込みたいところでしたが、みんなで共有するようになったんです。どこの酵母が元気がいいよ、とか。この原料使うと美味しいよとか。 そんな時代を経て、醸造家同士や会社同士の垣根を越えて、美味しいビール造りの情報交換や交流が少しずつ広まり、ビアテイスターやビアジャッジなどの資格ができたり、オクトーバーフェストのようにクラフトビールを専門にした大規模なビアフェスも各地域で行われるようになって、徐々にファンを獲得していき、みんなでやろう!という機運も高まって、各社の技術も向上していったんです。
それから、2007年あたりから第二世代と言われるクラフトビールとして、現在のようにまた市場拡大して定着してきた形です。海外でのクラフトビールはもっと前の2000年をすぎたころからでしたが。
編)目立つところですと、スコットランドのブリュードッグなんかが出てきたばかりの頃ってすごい破天荒で面白かったですね。プロダクトデザインの目線ですが、食品のパッケージとして使うような色やデザインではない、名前の付け方も全く斬新だったりで、クラフトビールという新時代が来る勢いを見て感じられましたね。
ま)そうこうしていると、今度は大手ビールさんも、ある一時期から「クラフト」という名前をいろいろな新商品につけ始めた頃でしたかね。市場関係者も消費者側からも、どのあたりがクラフトビールなのか?をそこまで問わない、とりあえず「雰囲気ワード」でしかなかったものの、ちょっと普通じゃない美味しいビールの市場は拡大していったと思います。
※チャタンハーバーブルワリーの受賞歴 (ビアスタイル:年 団体 メダル) ・ラガー:2020 IBC※ 銀 ※IBC = International Beer Cup ・ペールエール:2017 IBC 銀 ・IPA:2019 JGBA※ 金 ※JGBA = Japan Great Beer Awards ・スタウト:2020 IBC 金 ・ゴールデンウィート:2019 JGBA 銅 ・ブセナゴールド:2020 JGBA 銀
編)チャタンハーバーブルワリーさんの瓶ビールは、最近では街の飲食店さんでも取り扱われているのを見る機会が増えてきたように思いますが、クラフトビールというカテゴリーはかなり浸透しましたよね。皆さん種類ごとのビールの楽しみ方もわかってきて、自分の好きなビアスタイルもしっかり言えるようになってきていますし。
眞境名さんは、好みのビアスタイルはありますか?
ま)自分が一番好きなのはペールエールですかね、、、造り手や銘柄によっても特徴がありますし、さらに流通の仕方とかで、同じロットでも味が違うこともあるのですが、そういう意味では一期一会な部分があるのも地ビール。さらに、味って飲む人の状態にもよりますから、美味しいってほんとに難しいことですよね。笑
編)美味しいの化学は難しそうですね。美味しいビールを構成する要素としては、どのようなものがあると考えれば良いでしょうか?
ま)大きくは、主原料の麦芽、ホップ、水、酵母菌、そこに副原料ですね。
主原料だけでもビールは作れますが、特徴を出すために皆さん独特の副原料を使って作られています。地域によってはその地元の米を入れることもありますよ。アメリカだとコーンとか、沖縄ですと当社テラスホテルグループではウザテラスの畑で作っている小麦を副原料としている「ゴールデンウィート」などもあります。「ブセナゴールド」には、うっちん、レモングラスが入っています。
編)そうでしたか!知らず知らずこちらのバーで美味しくいただいていました!
そういえば、海外のビールでレモングラス感と苦味が強烈なものを飲んだことがあります!IBU※200とか、とんでもない苦味の効いたものでしたが。
※IBU: 国際苦味単位International Bitterness Unit
ま)たしかに昔は、競うようにIBU高めの商品開発をする風潮がありましたが、現在ではIBU競争ではなく、苦すぎないフルーティな方が市場では好まれることがわかってきて、お店とかでもラインナップが変わってきていると思います。
トレンドとしては、サワー系は2年ぐらい前に流行りましたね。
他には、原料に塩を加えて発酵に乳酸菌を使う「ゴーゼ」というビアスタイルもありますから沖縄の塩を使ったゴーゼや、沖縄のハーブ月桃を使ったり、もろみ酢を使って通常は乳酸のところをクエン酸で代用したもの等、まだまだ開発されてない新しいビールを造るのも楽しいですね。
編)原材料にもいろいろあるんですね!いつも飲むビールのことですから、さらに専門的な部分も深堀りしたくなってきました。新しいビールを作る時は、どのようにして開発されているのですか?
ま)作りながらテイスティングで試行錯誤も大事ですが、開発時に考えているターゲットとしては、チャタンハーバーブルワリーでは、当社グループのホテル向けに食事と合わせて、食事を邪魔しないようにという考えもありますから、ビールだけが主役になりすぎず、穏やかで、さわやかホップ感というあたりですかね。
お肉と合わせるビールとしては、カラメル感、モルト感を表現できるようにして、食事に合うことを考えています。
編)日本ソムリエ協会のワインと食事に関する本でも、同じようなことが書かれていたのを覚えています。
ま)そうですね、ペアリングの発想ですよ。
まずはコンセプト開発やイメージから入りまして、それに合うようにそれぞれのターゲットとする特徴を出すのに有効な原料や発酵のさせ方などをひとつひとつ組み立てていきます。一般的にどのような市場の商品とも同じで、まずはコンセプト開発で、誰がどのようなシチュエーションで飲むビールなのか、その設計からですね。
編)味のキャラクターを出すために、苦味や香りなどレーダーチャートのような、ものさしはあったりしますか?
ま)味わいという経験を作り出すためのプロセスとしては、どちらかといいますと、数字や計算だけでは出せない柔らかい部分なので、感覚に頼らざるをえない部分が大きいですね。
原料の配合や温度、発酵時間を変えてみたり、それだけでもかなり変わりますので、いろいろな組み合わせで試行錯誤しながらですが、ミクロの生物界が行う発酵がどのような味を作り出すのかを楽しむ、という感覚の世界かもしれません。美味しかったバッチであればまた再現できるように毎回化学実験のように各設定データの記録は大事ですが、数値は回数を積み重ねたあとの統計学でしかないですから、それは結果論でしかなく、最初から計算だけでできることはないですね。
編)我々楽しむ側の人間としては、いろいろ知らないことも多いと思いますので、あまり聞いたことがない方や、ちょっとわかる方向けには復習として、ビールを作る材料や工程など大まかに教えていただいてもよろしいでしょうか?
ま)そうですよね。麦がどうやってアルコールのビールになるのか?不思議ですよね。
編)酵母菌が糖分を食べると、アルコールと二酸化炭素を出す、、、とても不思議です。
ま)そうですね。そのためにまず、麦芽のでんぷんを酵母菌が食べれるようにするための糖化という工程がありまして、方法としてはインフュージョン方式とデコクション方式とがあります。
・インフュージョン
麦芽を水に溶かして68度になるよう釜全体を温め、数時間保って麦芽糖にする方法。
・デコクション
麦芽や糖質になる副原料を粉砕して温水に混合、一部を別の釜に移して煮沸して煮詰めたもろみを元の釜に戻して温度を上げ、何度も繰り返す方法。コクやまろやかさ、深みが出て美味しいビールが作れると言われています。
編)なるほど、アルコールを作ってくれる酵母菌のためのエサ=糖の作り方に2種類あるんですね。
ま)ここからは聞いたことがあると思いますが、お酒には2つの種類がありまして、世界で初めてできたお酒の醸造酒(ビール、ワイン、日本酒など)と、醸造酒を熱して蒸気にしたものを冷まして液体に戻しアルコール度数を高めた蒸留酒になります。
編)アルコールが液体から気体に変わる沸点が78度で、水が水蒸気になるのは100度ですから、アルコールの方が先に蒸発するので、その温まったアルコールの気体を集めて冷やして液体に戻すということですね。
ま)そうですね。それが蒸留酒の作り方ですね。
醸造酒としては、酵母菌が食べられるサイズの糖を用意してあげることが、お酒造りの始まりになるのですが、なぜそこまでして酵母菌に糖を食べさせたいのかというと、実はお酒って、酵母菌が糖を食べて代謝する過程でしか作れないのものなんですよ。
編)知るだけで、面白いですね!飲むのも好きですが、今度飲みながらそのことを考えてしまいそうです。笑
ま)その酵母菌の種類によって口の大きさが違いまして、ビールを作ってくれる酵母菌が食べれる糖は2つの分子を最小単位とする二糖類で、ワインを作ってくれる酵母菌は口がより小さいので1つの分子が最小単位の単糖類が必要なんです。
果物の糖はもともと単糖類ですから、ワインやシャンパンなどの果実酒は、果実を絞るだけで酵母菌のエサになります。
編)ものすごく、わかりやすいです!!
ま)ワインは果実を絞るだけでOK。
ビール、日本酒は、でんぷんを加工して、酵母菌のえさ創りからの工程。
テキーラはアガベを糖化して酵母菌で醸造したものを蒸留する、という流れです。
編)そんな見えないミクロの世界の酵母菌たちに人類がエサを一生懸命作ってあげてると思うとなんだか不思議ですね。つまり、人間は酵母菌のために働いている?
ま)これって酵母菌の利己的な遺伝子か?!という話ですよね。笑
編)この手の話は、なんだかロマンもあって最高です!
お酒に関しては地球規模の産業があって、それによってお酒の力も借りてリラックスしたり新しい発想を思いついたり、社会の潤滑油になってコミュニケーションしながら新しい未来を創っていて、そのなかで人類の宇宙進出もあると思うと、火星でも人類はお酒造りするんでしょうね。笑
ということは、酵母菌がいろんな星に行くために人類を利用しているとも言えますかね?!笑
ま)ミクロの生物界にもロマンですね!
ビールは、麦芽 × 酵母菌 × ホップで、それぞれが何十種類もあるのですが、計算を簡単にしても10×10×10=1000種類のビールができますから、そこに副原料を掛け合わせていくと、組み合わせでいくらでも可能性の広がる宇宙ですね。
編)ちなみに、こちらの店内からも見えていますが、ビールを作る道具や機械などはどのようなものがあるのでしょうか? ま)機械としては、だいたい中国製、カナダ製とかのものを普通は買うしかないのですが、チャタンハーバーブルワリーでは、道具や機械の設計からすべてオリジナルにカスタムしたものになります。 編)そうなんですか!これ全部カスタムビルドなんですか? ま)はい。国内産と外国産パーツを組み合わせて、フルカスタムで組み立てています。何かあったときに取り換えや、メンテナンスをしやすくするためで、
編)クルマの日本車と外国車のような感覚でしょうか?
ま)まさにそうですね。パーツだけでなく技術者もおりますので、当社のビール工場では機械に何か問題が発生してもその日のうちに沖縄本島内だけですべて解決できるので、工場稼働への影響はほぼないように設計されています。
編)2016年に開業されたばかりの頃と比較すると、タンクの数もかなり増えたようにお見受けしますが、
ま)いわゆる生ビールのサーバーにつなぐビール樽としては当社ホテルグループ内専用なのですが、ボトル詰めした瓶ビールは飲食店さんや県外へもお届けしています。
開業から5年ですが、これからは、もっとチャタンハーバーのことやビールの楽しみを広げたいと思っています。
当ブルワリーの周年祭では工場見学ツアーをさせていただいたり、業界同士での交流のためにバーテンダー協会の方に工場案内をしたことはありますが、やはりビール造りに適した環境にコントロールされているため、衛生上の管理が難しくなるので広く一般向けに開放することはできないのが心苦しいばかりです。その代わり、すべてガラス越しに醸造所内を眺めながらお楽しみいただけるようにしてありますので、次にご来店いただけるときは、ぜひバーカウンターにも座ってみていただけたらと思います。
編)いいですね!現場でビールが作られる機械を眺めながら、製造工程に想いを馳せながら飲むことができたら、もっとおいしく感じたり、地元のビールのことを発信したりするようになるかなと思います。
(と、前置きをしつつ、読者の皆様の代わりに、工場内を特別に見学させていただくことに)
まず入口に入ってすぐのここでは、出荷した樽が戻ってくるところで、空樽を洗浄して置いておく場所です。専用の洗浄機器も備え付けてありますので、かなり楽に作業できるようになっています。
ここから製造工程になりますが、ここで麦汁を作っていまして、このタンクからコンピューター制御システムまでカスタムです。 メンテナンス性のために床から高い位置に作っています。
発酵の段階ではこちらに移して、一定の温度に保たれています。 ビアスタイルごとによりますが、3週間~熟成期間の長いものですと2か月ほど。
生産と出荷量も増えまして、熟成タンクの設置数は当初の2倍になりました。
最後に一番重要な、クオリティチェックです。味見ですね。 編)発酵の現場で味見、最高にフレッシュそうですね! まさにこのタンクの中で今生きている酵母菌が糖を食べて、アルコールとビールの泡となる二酸化炭素を生成してくれているところなんですね。。。酵母菌が可愛く思えてきますね。笑
ま)そうですね、カーボネーションと言って、ビールの泡となる二酸化炭素を液体中に溶け込ませるためのことですが、こちらでガスを外から注入しているわけではなくて、、、酵母が出した自然の二酸化炭素だけを液体に溶け込ませて、滑らかな飲み心地と泡を作っています。
編)すごい!シャンパーニュと同じなんですね!
本日はいろんなお話と、こちらのようになかなか入れない醸造所の心臓部にまで入らせていただく貴重な機会をありがとうございます!
ま)こちらこそ、ありがとうございます。いろんな工程を経ていろいろなことをやっておりますが、やっぱり最後はお客様がビールと共に楽しい時間を過ごしていただく、という部分がすべてですから、そのためにがんばっています。またこれからもチャタンハーバーブルワリーをよろしくお願い致します。
クラフトビール醸造家としての仕事は、地ビールめぐりや旅行で訪れる方たちだけでなく、沖縄に暮らしす人々の人生も豊かにする。その土地を代表する美味しいビール、新しい発想のビール、感動や驚きのある多様性と深みを今後も楽しみにしたいと思います。