量産できてしまうものに、経済的価値はあるのか?世界で活躍する写真家の頭の中
プロフェッショナル・フォトグラファーとして20年以上。「量産できてしまうものに、経済的価値はあるのか?」そう問いながら、常にやったことがないことを設計図なしで実行していく追究心。今回は、世界のトップクリエイター、写真家、そして沖縄から風呂・サウナカルチャーを広める 武安弘毅 氏にお話を伺いました。とてもひとつの記事だけでは語り尽くせない濃い内容を、ぎゅっと凝縮してお届け致します。
撮影場所:割烹すいれん
[ 編)編集部 / K) 武安 弘毅さん]
まずは、読者の皆様に簡単に経歴をご紹介させていただきますと、武安 弘毅 氏は、10代で海外に渡り、世界のいろいろな過酷な現場を渡りフォトジャーナリストを目指しキャリアをスタート。2000年沖縄サミットを機に沖縄へ移住。帰国されてからは、HiStandardボーカル難波章浩主宰のアーティスト集団ULTRA BRAiN(V2 RECORDS, UK)にフォトグラファーとして所属。MONGOL 800、鬼束ちひろのオフィシャル・カメラマンとして活躍し、自身の個展プロジェクト「真夜中写真部」では、世界の頂点に立つクリエイティブユニット「TOMATO」からも高い評価を得ている写真家、クリエイター。
編)こうきさん、おはようございます!本日は、大変貴重なお時間をいただきありがとうございます。よろしくお願い致します。
K)おはようございます。よろしくお願い致します。
編)今日もステキなTシャツですね!「F、R、O」ってもしかして、
K)カメラで行くか、風呂屋で行くか2パターン考えたのですが、今日はこっちにしてみました。笑
最近「沖縄アウトドアサウナ協会」というものを立ち上げまして、風呂関係のことで頭いっぱいなもので、、、Tシャツ以外にも海外のナンバープレートみたいな雑貨とかでも1126とか、いい数字が付いたネタになるものを探していますよ。笑
編)笑!FRO=風呂でしたか!ああ!!袖にも湯のマークがあるじゃないですか!こうきさんは、これまで手掛けられてきた数々のお仕事も名実ともに素晴らしいのですが、人間としてほんと面白い方だと思っておりまして、今日は写真家としてと、最近手掛けられているアウトドアサウナ関連についても、両方お伺いできたら嬉しいです。このインタビューを通して、頭の中で一体どのようなことを考えられているのか、少しでもクリエイティビティに触れられたらと思っております。今日は短時間ながらいろいろ質問させて下さい!
K)了解しました。よろしくお願いします。
編)まずは、北海道のご出身と伺っておりますが、沖縄に移住されてからはどれくらいになるのですか?沖縄関係のお仕事でもかなり多くの実績がありますよね?
K)思い返すと、沖縄に移住してきてからもう20年以上でしょうか。写真家としての沖縄でのお仕事ですと、琉球王朝を舞台にしたドラマ、映画の「テンペスト」でスチール撮影を担当させていただいたり、沖縄県のグローバル観光ブランディング「Be.Okinawa」のメインビジュアルもTOMATOと一緒に制作させていただきました。
編)TOMATOって、1990年代にポップカルチャーを楽しんでいた私たち世代では知らない人はいないと思いますが、音楽のアンダーワールドとか映画トレインスポッティングのアートワークも手掛けたクリエイティブ集団の、あのTOMATOですよね?
K)そうです
編)最高ですね!ほんとに言葉が見当たりませんが、そんな世界トップのクリエイティブチームとも関わられていらっしゃったのですね!!!
K)TOMATOというのは、グラフィックから映像、メディアアート、芸術、プロダクトや商業、研究など、一つのチームですべてを統合して行っている珍しいクリエイティブ集団なのですが、ほんとカッコいいですよね。
編)Be.Okinawaの取り組みが始まった頃は、沖縄県としてこんなかっこいいブランディングができるんだなと、なんといいますか、沖縄が世界基準のリゾートとして紹介されていく様子を見ながら未来に希望を抱いたのを覚えています!私はただただ見る側でしたが、あのメインビジュアルを担当されていたのが、こうきさんでしたか!
K)完成に至るまでにはいろいろありましたが、楽しく丁寧に担当させていただきました。どの現場でもそうですよね、クリエイティブなアウトプットには必ず多くの方々の膨大な熱量が注がれていますから、いろいろなことが起こるものなんでしょうね。
編)こうやってメディア・クリエイティブ関係の仕事をしている我々人間からしますと、仕事のポートフォリオが比類なく素敵なものばかりで、本当に尊敬の的です。
そういえば先日、沖縄北谷の「People’s Art Gallery」を訪れた時には、こうきさんの特別セッションも行われていましたよね?なんでも200年前の現像技術を再現したオリジナル技法で、特殊なポートレート撮影とかで、、、前知識もなにも全くありませんでしたが、聞いたことがない、かなり特殊なことをされているなという印象でした。
K)ほんとに、自分もですよ。
編)え?
K)やったことがないことをやる、というのが好きでして。。。6年くらい前からはもう、経験のないことだけしかやらないようになってきました。人間の脳って、楽しいこととか刺激的な体験をすると、やる気や幸福感ホルモンのドーパミンって出るじゃないですか?
編)はい。
K)どうやら、どんな刺激的な楽しいことでも2回目だと、全く初めてやる1回目の時と同じようにはドーパミンって出てくれないんですよ。
編)2回目だと、もう同じではない。と?
K)なので、できる限り経験のないことにチャレンジし続けていくことが、楽しく有意義に人生を過ごしていくための秘訣なんだろうなと思います。
自分では、その一つとして、200年前に人類が写真とか現像とかやったことがなかった頃のように、なぜ人は写真という瞬間を切り取るような行為をしたがるのか、という問いにも思いを馳せながら、やる前からあれこれ詳しくは調べず、やりながらすべてプロセスを通して研究しながら学ぼうと。それで、現像液なんかも自分でオリジナルに調合して試行錯誤していまして、そういう正解や教科書もなく、頭の中に描く設計図だけで進めて、自分の感覚で感じる、これいいかも!という瞬間に至るまでの過程って、ほんとに楽しいんですよ。
編)それで、あのポートレート撮影だったのですね!
K)知らないことをする前のムラムラと、それをやってみて得られる知的刺激って、脳がすっごい反応するので、楽しいですよ。レシピも設計図もないまま、とりあえずやってみて、自分のモノにしていく感覚で。そんなこんなで、大工もちょっと今やってたりしますが。。。
編)こうきさんの頭の中は、やっぱり思考回路が面白いですね。
K)実は、脳科学者の茂木健一郎さんとのコラボで、雑誌「モモト」で連載コラムも10年近くやっていますが、茂木さんのような面白い方々と接していると、だんだん脳についてももっと詳しくなりそうですね。笑
編)人って、同じような人同士が自然と集まってくるものだと思いますが、やっぱり、こうきさんは相当面白い方だと思います。笑
沖縄北谷のピーポーズ・アート・ギャラリーのヒロさんとも話していたことなのですが、あそこは不思議といろいろなクリエイティブな人が次々と繋がっていく感覚がありまして、アート作品を展示しているギャラリーというだけでなく、生き方がアートなヒトたちの集まるギャラリーだなと。(武安弘毅 氏と知り合ったのも、ここでした)
K)僕も、ピーポーズができたばかりの頃、KURUMIちゃんの展示の時に初めて来たのですかね、、、そこで、壁の色や作品の質感がいいなと思ってました。最初は、野村総研の企画で、地域イノベーションとしてゼロイチ(無から有を生む)ビジネスを創生してもらうプロジェクトにいいかなと思って、ピーポーズのヒロを誘ったんですよ。そこでLGBTウェディングなど良いコンテンツは生まれましたね。
実は、仏教では人を性別や人種で区別していないため、普天間神宮寺でLGBTウェディング企画をやりまして。
編)すごい組み合わせですね!最先端と古来からあるお寺を融合して、、、
K)そうですよ。だって、寺の門前にレインボーフラッグが掲げられるという光景、まさにダイバーシティ(多様性を認める考え方)でしたよ。
その企画も大成功で終えて、いろんなプロジェクト展開を重ねていく中で、クリエイターたちのつながりも深くなっていき、今回自分もポートレート撮影企画をやってみる流れになりまして。。。
編)芸術って人間にしか感じることができないものですよね。テクノロジーとハードウェアがいかに進化していっても、有機的な人間のメンタル部分はそんなに急激に変化できないですし、無理やり変化させられるものでもないし。創造力という人間らしさから生まれている産物だからこそ人間の心に豊かさをもたらすことができるわけで、そんなことができるアートの重要性は必然的に増してきます。そのため、経済的な面でも市場はもっとアーティスト寄りに変わってくると思いますよ。
K)アート市場って確かに、海外と比べると日本はまだまだ成熟していないんですよね。沖縄には、多くのクリエイティブなアーティストが暮らしていますので、その変化を仕掛けていくためにはとても良い場所だとは思いますが。
編)そうですよね。アートで飯を食っていく、という表現が正しいのかわかりませんが、鑑賞側としても鑑賞眼と言いますか、アートマインドと言いますか、どう暮らしの中にアートを取り入れて楽しむのかもわからなかったり。その部分が育ってこないとアートに関する市場価値も大きくならないですから、つまりそれは、アートを生業として取り組むことの難しさの正体でもありますよね。いまのところは。
K)日本ではそうやって創作や発表よりも、技術を教える先生業などがわかりやすい例ですかね。本当は芸術家だけれどもそのための市場経済がないため、代わりに先生業として教えることに対して給料をもらって生きているという状況は相当あります。一方、海外では、トップスターに登り詰めてからそのあとに学校などで教壇に立つのが自然なんですよ。そんな環境だから教わる生徒側も楽しいし、夢があって、ワクワクも説得力も違いますよね。
編)その結果としていい循環ができていると。確かにそういう部分でも日本はまだまだこれからなんですね。この現在の状況を認識したうえで、それを解決していくような取り組みをしていきたいものですね。世界のアート市場全体の数値をどこかでみたことがあるのですが、世界全体では7兆円規模、しかし日本では3000億円程度しかなく、わずか4% ということでした。
K)それは、突出した才能のアーティストを見つけてきて、オーバーグラウンドに出していく画商やギャラリスト、優秀なキュレーターの存在もなかなかいないことも原因かもしれませんね。。。一部の大手広告代理店には素晴らしいキュレーターの方が少しは居らっしゃるのを知っていますが、日本社会全体で見たらまだまだ少ない。
編)特定の人がアーティストをバックアップするパトロン契約みたいなケースでも、アーティストにとっては100%やりたい表現が叶うかというと、そのパトロンさんとの人間関係みたいな部分が出てきてしまって、気が付いたら雇われて描かされてしまっているだけ、ということも起こるでしょうし、、、
K)それでもパトロンが付いてくれるだけで恵まれてる方ですよ。ほんとは社会全体がアーティストを支える構造が理想ですが。
編)そうですよね、本来は、作品が気に入られてたくさんのファンがサポートすることで、パトロン特定個人だけの影響度を濃くしすぎず、アーティストとしてありのまま表現していくだけで生きやすい世の中の方が、世の中全体としてもいろいろ面白くなりますから。そういう方向にしていくことは微力ながらも可能だと真剣に考えていますので、今後の仕掛けにもぜひ一緒に取り組んでいただけると心強いです。
K)素晴らしいですね。
編)制約があるからこそ素晴らしいクリエイティブが生まれることもあれば、経済的制約のために生業にはできないからといって諦めて埋もれてしまう才能もあるでしょうし、まずはアートを生業にできる状況づくりはこういうメディアの役割の一つかもしれませんね。
K)そういう意味では、アーティストって、やっぱり自分の表現する作品に値段を付けることや、多くの人に知ってもらうためのマーケティング技術みたいなことは得意じゃなくて、それよりも、使える能力のすべてを表現に注力したいわけですから。ま、それがまわりまわって結局はそのためにもマーケティングは必要なことですが得意ではない。
たまに後輩とかからも聞かれるのが、自分の作品にいくらで値段つければいいですか?と。そんなの簡単で、芸術作品なんだから自分で言い値で付けるしかないんですよ。アートはキャンバスのサイズが何cmだからいくらだとか、何Kgだからいくらという量り売りをするわけでもないのですから、価値は自分で決めるしかないわけですよ。本来は。だからと言って、最初からアート作品に億を値付けして成り立つわけでもなく、プライマリー(大本の根っこになる原版)があって、セカンダリー(原版を増版して商品化など)のマーケットで組み合わせていって、やっと大きくなるものだと思います。
中には、アーティストとしての生涯年収を鑑みて、それを生涯で製作可能な作品数やプリントする枚数で割り算して、1作品あたり、1商品あたりの価格を決めるなんていう方法の人もいますけれど。そのあたり、作品の存在価値に対して、自信を持ってうまく価値を自分で付けれるようになっていかなくてはいけませんね。そこにいけるためにも、まずは役割分担として、餅は餅屋で、アーティスト、キュレーターやマーケター、メディア、鑑賞者がうまくかみ合っていくことを目指すべきですよね。
編)課題と解決策が見えてきましたね!ひとつひとつ、やっていきましょう!
K)いいですね~。みんなで少しずつ、ひとくちずつ乗っかりましょう!みたいな新たなパトロンシップの具体策はみんな待っているはずです。これはこういうもの、という既成概念でできあがっているものを壊して、作りなおすことを怖がらず、まずは一回壊す。そんなの得意ですよ。笑
編)その文脈では、「真夜中写真部」ってどういうプロジェクトでしたか?
K)部と言っても、自分一人だけなのですが、真夜中の風景をテーマにした写真で個展をしました。すべてデジタルデータ、デジタルプリントだったのですが、その時にいろいろ考えさせられましたね。。。紙焼きのプリントされた物理的な写真であればまだしも、デジタルデータって、いくらでもコピー&ペーストで量産できるわけですが、そんないくらでも量産できてしまうものに、経済的な価値はあるのか?と。
例えば、媒体社などに写真データを送ることって、その後そのデータはパソコン上で加工でもコピーでもどうにでもできてしまうわけですから、写真家としては魂を売るようなものかなと。そこから4年かかったのですが、逆に世の中で1枚しかできないものをやろうとしたんです。
それがピーポーズでも先日やりました、サイアノタイプという1835年に発明された写真現像の技法で、もちろんサイアノ技法自体はこの世の中に存在はしていましたが、そこに自分なりのやり方を一部発明していると、試行錯誤に2年を費やしていました。それを、最初2年前(2019年)にNYブルックリンで作品展を開き、それから日本に帰ってきて沖縄北谷と那覇で。
編)そんな文化をニューヨークのブルックリンから、沖縄の北谷にって、なんだか素敵ですね。
K)アメリカで100年前に現代アートシーンを押し上げたアーモリー・ショーというのがありまして、1913年に大きな武器庫(Armory)で始まったものですが、旬なアーティストをショーケースしつつ、展示販売するものでした。それもニューヨークのブルックリンからでしたね。
編)こんなのも沖縄でできるといいですよね。
K)沖縄でアートというと、組踊などの重要無形文化財になっているものもありますが、絵画や写真などプロダクトにもなりえるビジュアルアートに対して、継承する踊り手が観客の前で踊るという構図が続けられなければただ情報でしかなくなってしまうパフォーミングアートは、結局ヒト単位で見たときに踊ることが経済と繋がっていないと、実際にはうまくやっていくのが難しい。そこのビジネスをうまく考え展開できる人がいたらまた別ですが。
アート資本論を展開する小山登美夫 さん(タグボート)とかは、武器庫でやるアーモリー・ショーに蜷川実花、奈良美智、村上隆などを連れていって世界のアート市場にプロモーションしていますが、買い手のいるところに作品を持っていく、そんなパワフルなことができるようなギャラリストが増えて、アートと市場を結び付ける商売は面白いぞ!と思いながら広めてくれる人たちが増えてくると、市場はちゃんと育っていけると思います。
編)なるほど、わかりやすいです。
K)例えば、アートフリマみたいなことをやった場合、知り合いだからその個展にいく、知り合いだから買うというシーンはありますが、作品ごとに値段ひとつひとつ見て考えて高いか安いか、という頭の中の作業を一度とっぱらうためにも、オール1万円均一で販売できる作品を募集し、ちゃんと選抜して展示する取り組みはかなり面白かったですよ。
無料もしくは入場料を支払って作品をただ見るだけで買えないパターンと、入場無料だけれども作品に値札がついてて買うこともできるパターンと大きく2パターンはあると思いますが、例えば後者の場合でも、いい作品だなーと思ってからキャンバスに近づいて行って値段をこわごわ見てから、やっぱり二の足を踏むということもあるなかで、全作品が同じ価格設定であれば、入場以後はお金のことはもう考えなくなるわけですから、ただ作品を鑑賞するだけ、良い作品を探すだけに没頭できるわけですよ。
それで良いなと思った作品が買えることが大事。値札がついてて、買っていいと言われると、ムラムラすると思うんですよね。
作者が何を考えているか、そういうのもありますが、これをおれんちに飾りたい、そういうシンプルな欲求で、そのムラムラでアートがどんどん売れるって大事だと思うんですよ。
無料もしくは有料で入場しても買えない場合と、値段が付いててそれぞれ値段設定がバラバラの場合と均一の場合、
それで人の歩くスピードは変わるのか?みたいなマーケティング思考での興味はものすごくありますね。
編)笑!!すごい発想ですね。。。そんなこと考えるアートビジネス研究みたいな分野って、あまり聞いたことがない気がしますよね。。。
アパレル店舗では陳列を戦略的に設計して売上効果を上げていくVMD(=Visual Merchandising Design)というモノの考え方がありますが、アートでのそれもきっと大事なことですよね。。。
ちょっと今日はこの短時間で伺いたかったことのすべてが整うのか、編集でうまく整えきれるのか、怪しくなってきましたが、
K)引き出しとしては、まだまだ、めちゃくちゃたくさんありますよ。笑
編)せっかく、FROのTシャツでここまで来てくださっていますので、サウナについてももう少し伺ってもよろしいでしょうか?
ちょっと、時間も長くなってきましたので、お腹すいてきませんか?そのあたりも話しながらお昼御飯とかいかがですか?
K)すごいですね、、、だし巻き卵定食って!!!関西では、だし巻きで御飯を食べる、ってちょうど先日どこかで聞いたことがあって、ぜひそれでお願いします。
編)ちょうど風呂あがりの昇り立つ湯気ように見えてきましたね。笑
K)嬉しいですね~。。。醤油を垂らしてこれをこうやって。。。
編)今日このあとはお時間どんな感じなんですか?
K)ちょうどこのあと、共通の知り合いの〇〇さんとテントサウナの話で打ち合わせが1本ありまして。。。
編)それはそれは!すごいタイミング、さすが情報が早いな~〇〇さん。
K)最近「沖縄アウトドアサウナ協会」をいろいろな役員メンバーと一緒に立ち上げたところなのですが、理事にはNewsPicks Books編集長をやられていた箕輪厚介さんにも参加してもらっていて、世の中の固まった概念を壊して新しいことをやる創造的破壊を進めている最中なもので、、、
編)NewsPicksも、相当面白い番組ですよね~この激動の時代、為にもなりますし。箕輪さん面白いですよね~!
K)そうそうたるメンバーと共に、一般社団法人までやってしまいました。
編)沖縄アウトドアサウナ協会さんで取り扱われているテントサウナについて、ちょっとだけ予習して調べてみたのですが、カタチもジオメトリックなカタチで構成されててかっこいいですよね。
K)寒い国で開発されたものって、やっぱり本気で作ってますから、クオリティが本物なんですよね。。。
編)確かにノルウェーとかそういう寒い北の方の国で、温泉とかサウナ文化ってありますよね。
K)緯度の高いところって、太陽の出てる時間が短めですから寒いだけでなく、ちょっと自律神経が弱りやすかったりして、サウナはそんなところの文化ですから、うまくそのような症状に効果的だったりします。たまに人間の数よりサウナの数の方が多いような地域もありますよ。笑
編)NZの人間より羊の方が多いみたいな感じですか!笑
K)沖縄だとキャンプとか、河原とか、屋上とかでもいいかもしれないですよね。
編)そんないろんな意味で、既成概念を壊せていますね!
K)ちゃんと法律には触れない範囲でですけどもね。消防法的にも問題ありません。
ただ、マキを燃やすので煙は出るため、まあピザ窯と同じで、周りとの関係の方が大事ですかね。
そのあたりさえクリアしていればプールとサウナの組み合わせなんて最高ですよね。
温まってから冷たい水でカラダを冷やす、温冷浴って、皮膚や神経によい刺激が来るので健康にもいいのですが、自律神経を整えてくれるところが、日本でも今ブームになっている要因かなと思っています。
編)なるほど、たしかに、都心だと個室サウナとかめちゃくちゃ流行ってて予約でいっぱいらしいですよね。。。そうなると、いつでも自分で設営して楽しめるテントサウナは最高ですね!キャンプにも持っていったら大人気間違いなしでしょう!
K)風呂、銭湯に関しては人の一生の人生じゃたりないくらい風呂の種類があるのですが、例えば、泉質だったり、湯温だったり地域だったりで特徴でますよね。でもサウナは、サウナじゃないですか?どこでもあの暑さという要素以外に地域によって変化することがあまりないユニバーサルなもので。。。また、風呂って人間にとって一生続けられる健康法だからよいなと思うんですよ。
不眠や鬱にも有効で、いいことしかないですから、あとは飯がうまい!
編)それ大事です!風呂あがりにリラックスした状態で向かう食卓で、大根おろしに醤油をかけて、だし巻き卵にそれを乗せて、というシーンが思い浮かびますね~
K)ありがとうございます。まさにそれですね。美味しくご飯が食べたい人におススメです。笑
それと、銭湯の中でははだかの付き合いで、何者かもよくわからない人たちと会話をしていることも多くて、湯から出て服を着たら、実はこれこれこういう者でした、という凄いビジネス界でも重鎮な方が多かったり、びっくりするような経験もしています。
編)そういうのいいですね。フラットに人間と人間の付き合いで、名刺や肩書ではないところで会っているなんていうのはいい人間関係ができそうですね。沖縄×ビジネスに、テントサウナという武器じゃないですが、強力なアイテムになりそうですね!
K)そうですよ、沖縄は湧き水が多いところですから、冬のアクティビティが少ない中でも、テントサウナが活躍しますよ。
ホテルの冬場もプールサイドにテントサウナを設置しておけば、せっかくある素敵なプールを眠らせておくくらいだったら、一気に冬のリゾートとしても楽しめるようになるでしょうから。
編)テント式でしたら、場所を変えて楽しめる。というのは強いですね。ビルの屋上とかでも設置しておいて、台風の時は撤去も簡単ですし。
K)せっかくの沖縄のポテンシャルを冬にも見出しているのですが、東京でやれることを沖縄でやる必要はないですよね。
川原でも山でも、ビーチでも、ものすごく活用シーンが多いのがテントサウナだと思ってますから。この2×2メートルで設置できるタイプの方が正直おすすめなんですよね、、、大きいものだとマキを燃やすストーブも2つ設置必要になりますし、テント内の容量が大きくなる分、なかなか温まってくれなくてですね。。。
編)こうきさん、相当なマニアックで、最高ですね!
K)だって、コジマ電気に行ったら、スタッフの方は家電オタクだらけで、商品に対してすごい造詣深くて、ちゃんと説明してくれたり、いろいろな質問に答えてくれてたら、つい、この人から買おうってなりますよね!
自分は、やったことがないチャレンジしますオタクとして、次にこのアウトドアサウナを通して、楽しみながら皆様に豊かな暮らしのシーンをお届けできたらいいなって思います。
編)それにしても、写真家としての記事からサウナ伝道師に一気に話を展開させてしまいましたが、何をやっても突き抜ける人ってこういうところなんでしょうね。。。いろいろな方とインタビューさせていただく中で、このRENT OKINAWAの一番楽しい点は、人それぞれのユニークな人生を聞かせていただくことができて、どんどんマニアックな領域で、知識が広く深くなっていくところでしょうか。。。
K)メディアを編集する仕事って、そういう意味でいい立場だと思いますよ。
編)みなさんと同じように自分が暮らしている場所は良くしていきたいですから、それぞれが自分の立場でできることで沖縄のためにもっと頑張っていきたいですね。
K)自分は、沖縄に来てからの約20年もそうですが、過去にはいろいろあったけれども、2020年からのパンデミックで世界が異常な状態になって、ある意味そのおかげで、自分の人生はどう生きるかについて意識が変わってきまして、昔よりもより日々のことに意識がいくようになったのもありまして、サウナはそんな中で手を付け始めたところで。。。
これから協会としていろんなことを整備していきたいですし、サウナランドフェス等も沖縄でやっていきたいですね~
編)そういえば、沖縄ロングステイでも、いろいろなコラボレーション先の商品やサービスに関してお話しさせて頂く機会がありまして、サウナ関連のグッズ等をこの記事を読んだ流れのまま注文取り扱いできたらよくないですか?
K)ぜひ!話が早くて嬉しいです!ありがとうございます。
編)ほんとですか!早速やりましょう!
沖縄でサウナ遊びは実際にハマると思いますよ。
本日は面白い刺激的なお話をたくさんお聞かせいただきありがとうございます。
どんどん新しい「経験ないコトをやるチャレンジ」楽しみにしております!
K)こちらこそ、ありがとうございました!
――― 世界で評価されるプロフェッショナル写真家としてやメディアアートの世界でも、沖縄でのアウトドアサウナ展開でも、編集部が今回のインタビューで感じとれたのは、武安弘毅 氏の豊かな思考と実績に裏打ちされたプロフェッショナルとしてのプロジェクトの仕掛け方や、人の巻き込み方の巧みさ。面白い遊びを考えることが得意な大人のお手本として、今後もその展開を本誌でフォローアップしていきたいと思います。
写真家 武安弘毅 氏の略歴ご紹介
北海道出身、沖縄を拠点に世界の音楽誌でグラビアページを撮影するほか、アーティストの写真集やCDジャケットなどを多数撮影。 MONGOL800、鬼束ちひろオフィシャルカメラマンも務める。自身のライフワーク「真夜中写真部」という夜景写真は映画監督ダニーボイルや英クリエイティブユニットTOMATOなどから高い評価を得るなど世界から注目を集める。
また、雑誌モモトにて脳科学者 茂木健一郎×武安 弘毅として「ヤケイ」を連載中。
沖縄国際映画祭オフィシャルスチールも担当している。
2010年 2011年、NHKドラマ 『テンペスト』 、角川映画 『テンペスト』 スチール担当
2013年 沖縄グローバル観光ブランディングBe.Okinawaメインビジュアル撮影
2014年 沖縄広告協会広告賞 総合グランプリ受賞、日本観光ポスターコンテスト「宜野座村ありのままの暮らし」総務大臣賞受賞
2017年 テオ ヤンセン沖縄展覧会2017メインビジュアル撮影
2018年 沖縄広告協会広告賞 総合グランプリ受賞
2019年 作品展”untitled”ニューヨークブルックリンにて開催
2020年 首里観音堂、普天満山神宮寺にて「眠る首里城」と題し真夜中の首里城写真を発表
2021年 沖縄アウトドアサウナ協会 発足、理事長就任